昭和歌謡曲の万華(まんが)

ユーミンの『最後の春休み』と『卒業写真』

切なくほろ苦いピリオド ~ 卒業式と春休み

やっぱり時代なんでしょうか?。 

ワタクシ達も、チョビッと反省しなければならない

のかもしれませんネッ?。

例えば、ユーミンの楽曲♪『 卒業写真』デス。

あの一節、覚えておりましょ~?。

♪  話しかける様に 揺れる柳の下を

通った道さえ 今はもう 電車から見るだけ

目が釘付けのスマホ歩き!、ハァウッ!。

せっかく話しかけて下さった

柳さんにも気づかず無視する形にッ!。

当然、この名曲が制作された頃には

完全想定外のコンニチこの頃スマホ文化だったでしょーが。

同じ様な指摘を、もう1サンプリングしちゃいますけど、

同じくユーミンの『最後の春休み』。

♪ もしも出来ることなら この場所に同じ時間に

ずっとずっと うずくまっていたい ♪

楽曲中のヒロインは、卒業直後の春休みに忘れたものを

学校の教室に取りに行ったのでス。

そして、あの片思いだった彼とのエピソードなどを、

つい走馬灯の様に回想してしまう。

♪ 目立たなかった私となんて交わした言葉数える程 ♪

だったり、

♪ アルファベットの名前順さえアナタはひどく離れていた♪

などと、トコトン彼とは縁のなかった我が身の運命を

皮肉交じりに誰もいない教室で回想する…。

しかし、これが今だったら?。どう?。

ネ?。ですよねぇぇぇ…。

縁のないカレシにメールでコクること可能。

カレシの画像添付返信メールのおねだりもカノー。

万が一にも、彼と誰も居ない春休みの教室で

一緒にうずくまっていることが実現したとしてもデスよ、

アナタなら、果たして何分くらい

スマホ電源オフにしていられます?。

ひとことも喋らないで、ただじっと

相手の存在感を噛みしめながら

うずくまり続けるのでス。

憧れのカレシと、同じ場所で同じ時を共有している

ことに酔いしれ、頭真っ白、鼓動バクバクで

緊張で言葉にならないよぉーッ!。

極上の沈黙をお楽しみになる余裕なんてアリ?。

仮に出来たとしても、立ち上がりざま、

「あの…。ツーショットいいですか」

なッ、などとスマホを立ち上げちゃったりするのでは ?!。

そ、そのぶち壊し感てどうなの~。

或いは、相手に

“ その写真、まさかサイトにアップするつもりでは?! ”

などと、疑惑の目を向けられてしまい…。

ウフゥゥムゥゥゥ…。ですよねぇぇぇ…。

揺れる柳とアイコンタクト。心の中で話しかける…。

言葉に出来ない3年間の彼への想いを、

ふさわしき教室に埋没しちゃってカモクに噛みしめる……。

あハァァァァァァ………。ハァウゥッ!!。

とッ、遠いッ!!。

その沈黙の、みなぎる想いの強さは

既に遠すぎる過去ッ!!。

やはり今は、インスタ映えポイントを

探し探され、あれやらこれやらでワーイワイに浸るべき?。

しかし、ユーミンの

♪ 『最後の春休み』、

最後の歌詞が余りに鮮やか、お見事キャプテン!!。

♪  そよ風運ぶ 過ぎた ざわめき

今は春休み 最後の春休み……♪

時が流れても一切色あせないユーミンの名曲の数々、

本当に傑出したアーティストなのねェ…。

シズル感 (汗がしたたるような臨場感) あふれる

自分を見下してうつむいてしまう、

傷つきやすい繊細な娘心の記録。

何という万人受け歌詞でしょーッ!。

誰にでも分かる簡単な言葉を使って

誰の心のスクリーンにも

ありありと映像を描かせてしまうッ。そして

リアルで具体的でロマンチック、

エスプリ効いたユーモア光るセコさも散りばめッ!。

組織から離れてしまうと、なぜだか

自然につるむことが気恥ずかしくなってしまい

会う口実や大義がないことに

誘う勇気さえなくなってしまっている自分に

気づいたりする…。

変だなあ。卒業した途端に

何もかもが宙に浮いちゃった感じがするだなんて…。

こッ、これって、まさに

女性による女性のための恋愛テキストッ !!。

こんな天才肌の、大衆に寄り添った

歌物語のカタリベなヒト、

そうそうは出ないかもしれませんね~。