カスタードめし〈9〉
例えば彼女にさ~、彼女に向かってだねぇ~、
「今日はキミの誕生日だから、オレ、酢ダコ作った。
パスタにのっけて食ったらどーかなって」
そして彼女への熱い思いを胸に、息を潜めて返事を待つ。
バルサミコ酢のような琥珀の…芳醇な時が流れる…。
「やだ」
タコのマリネのパスタって言えばよかったのにねー!、だよ。
マリネはフランス語だから響きイーよね。女子ウケするよ。
酢ダコって云われちゃうとね~。旨い旨くないの問題でない。
もはや女子的には。
この写真中央の、なんかトグロ巻いてるタコ足。
これねぇ…。更に盛り付けてる時、うっかり凝視しちゃって
クラッと立ちくらみしたのね。そうゆうのになるって
アンモナイトの化石を見てる時だけだと思ってた。
でも違ってた。……ふッ、深いッ!。
スーパーでユデダコと安売りしてたシソの葉を
見た目の雰囲気だけで買って、
家に残ってたピクルスの瓶の中の液体に
レモン絞ったのと白ワインを足して、最後に黒コショウ。
う~ん。おや、うちはフランス料理店だったの?、みたいな。
そんな感じになりましたよ。ゴハンには全然合いません!。
シソの葉も美味しいけど、つい、キューリのスライスとか
チョビッと入れちゃった。それやると酢ダコチックだけどね。
マ、とにかくこれに合うのは、ご飯ではなくて
やはりパスタでしょーか?。
ですわよねぇ~。